疯狂体育,疯狂体育app下载7年度徳島大学入学式式辞

疯狂体育,疯狂体育app下载7年4月7日(月)
会場 アスティとくしま
徳島大学長
河村 保彦

 本日、徳島大学に入学された1,343名の学部新入生、476名の大学院修士?博士前期並びに69名の博士?博士後期課程入学生の皆さん、入学、誠におめでとうございます。世界中で猛威を振るった新型コロナウイルス禍を経て、本日こうして入学式が挙行できますことには、大変感慨深く思います。ご来賓ならびに本学教職員とともに、皆さんの入学を心から歓迎しお祝い申し上げます。また、皆さんを支えて来られましたご家族や関係者の皆様にお慶び申し上げます。 

 さて、当地徳島は、我が国有数の大河、吉野川の河口扇状地に広がり、北は鳴門海峡、東は紀伊水道を介して太平洋を臨みます。街の西方には万葉集に詠まれた眉山があり、県西部には四国第二の高峰、剣山が聳えます。また、徳島市の南に位置する小松島市は、平安時代末期の屋島の合戦に臨んだ源義経の上陸地と伝承される、歴史的背景にも富んだ地です。
 皆さんが入学されるこの時期は、いち早く河津桜や蜂須賀桜が開花し、程なくしてソメイヨシノが花開きます。次いで木々が芽吹き、周囲の山々が緑を競い合います。野にも山にも海にも自然の恵みが豊富で、澄んだ空気と美味しい水にも恵まれ、健康的な学生生活を送ることができます。徳島は、有名な「阿波踊り」がある一方、四国遍路の一番札所、霊山寺の静かで厳かな佇まいに身を置き、自分を見つめ、将来への力を蓄えるまたとない場所でもあります。
 次に大学の概要を紹介します。徳島大学は、昭和24(1949)年5月に新制大学として発足し、昨年75周年を迎えました。現在、6学部、6大学院研究科や教養教育院、附属図書館、大学病院のほか、産業界と本学を結ぶ大学産業院、そして先端酵素学研究所、ポストLEDフォトニクス研究所、バイオイノベーション研究所など最先端研究とその成果を社会に還元する施設を有する総合大学です。学部構成としては、四国で唯一、医学、歯学、薬学の医療系3学部に、理工学部、生物資源産業学部の理系5学部を擁します。併せて、現代社会の様々な問題や地域と世界の課題解決を目指す総合科学部を有します。

 私は2023年4月に、徳島大学の育成したい人材像や将来あるべき姿を、「INDIGO宣言」として策定しました。「INDIGO」すなわち「藍」は、徳島の伝統産業「藍染」をもたらす自然染料の原料となる植物です。
 まずINDIGOのIはIntegrity(誠実)、NはNoble 及び Novel(高潔と斬新)、DはDynamism 及び Diversity(活力と多様性)、次のIはInclusion(寛容?包摂)、GはGlobal(世界へ発信)、OはOpen(開かれた徳島大学)を意味します。すなわち、未来社会を照らす誠実で高潔な人格、地球規模の課題に立ち向かう斬新な発想と力強さ、徳島大学はこの両者を身につけるための教育研究の場を提供し、社会の要請に応え続けます。性別、年齢、国籍、価値観などの多様性を前提に、誰も取り残すことなく受け入れて、学生や教職員の本来の力を最大限引き出せる大学運営を行ないます。「地球視点で考え、徳島発で行動する」大学として世界との交流を進め、教育研究に関する成果や課題を学内外と共有することで知の融合反応を促進し、「深く輝く、未来を紡ぐ大学」を目指します。皆さんもぜひ「INDIGO宣言」を念頭においていただき、大学生活の指針としていただければと思います。

 続いて、最近の徳島大学の動向についてお話しします。幸いなことに、徳島大学はここ数年、国から高い評価を受けて、十指に余る多数かつ多額の財政的支援が得られています。また、建物の改修や新営も進んでおり、建設工事の槌音が絶えません。それらの内、特に皆さんには「地域中核?特色ある研究大学強化促進事業」、すなわち“J-PEAKS”(Program for Forming Japan’s Peak Research Universities)についてご紹介します。このJ-PEAKSは、十年後の徳島大学のあるべき姿を描き、本学の強みや特長である「光工学」、医学領域の「慢性炎症研究」、そして「栄養学」と「情報科学」の4つの先導研究に、文系?理系を問わず全学を挙げて横断的に取り組み、他のJ-PEAKS大学とともに我が国の研究力のベースアップに貢献するものです。現在、大学は国、公、私立全体で800校を超えます。徳島大学は、全国の134機関から申請があったうち、5倍を超える厳しい選抜をくぐり抜け採択された25機関の一つとなりました。四国地域の採択校は、本学1機関のみです。このJ-PEAKSで徳島大学は、「創造的超高齢社会」の実現を達成すべきテーマとして掲げています。我が国は、少子高齢化、エネルギーや食糧、自然災害、新興感染症など、多くの課題を抱えています。そうした社会課題に対して、徳島大学は持てる力を駆使して人々が高齢になっても健康で社会に参加?貢献し、人間的で安心安全な生活を享受できる社会―すなわち、創造的超高齢社会―の実現に貢献することを目指しています。徳島大学は、国から中核的研究大学の一つと認められた国立大学であり、皆さんはそうした大学で学ぶという矜持、すなわち自信と誇りを持って堂々と振る舞い、毎日をぜひ能動的に充実した学生生活を送っていただくよう願います。
 以上のように、徳島大学は理系に強みや特長のある大学ですが、文系の面でも魅力を有しています。本日の入学式に先立つこと10日ほど前に、徳島大学附属図書館収蔵の「伊能図」、すなわち伊能忠敬の測量図と2点の地図箱が、文化審議会の審査を経て本年度中に重要文化財として指定されることになりました。美術工芸品にかかる重要文化財について全国の大学では13機関で計88点保有されていますが、四国地域の大学では初めて本学で1点保有されることになりました。また、本伊能図の学術的価値については、本学名誉教授で元総合科学部長の平井松午名誉教授を中心とする研究グループで、精力的に進めて来られました。

 最近のわが国は、新型コロナウイルス禍が収まり、通常の生活が復旧しています。しかし、地震や戦乱、環境変化、物価や光熱水費の高騰などで人々は苦しんでいます。そうした厳しい状況は、私たち人間が、いつの間にか世界を支配しているかのように思い込んでしまった、そういう利己的なところからもたらされたのではないかと危惧します。今や私たちは、利他の精神でより良い未来を提示し、実現しなくてはなりません。そのため、皆さんは、文系、理系を問わずそれぞれの専門を極めるとともに、人類の歴史や文化の歩み、哲学や心理学など人々の思考のあり方、そしてAIやデータサイエンス、SDGs、カーボンニュートラルなどの知識も必要とされます。併せて、皆さんはグローバルに活躍することが当たりまえとなります。したがって、グローバルコミュニケーション力や自国の文化や歴史が語れる力も必須です。このように、専門以外にも多くの学びが必要となりますが、皆さんはどうか生涯「学び続ける」ことを念頭に置いて、徳島大学での学びをスタートしてください。

 学部新入生の皆さんは、新型コロナウイルス禍と厳しい受験生活を乗り越え本日入学式の会場に臨まれました。また、大学院新入生の皆さんは、専門分野での学びの深化、留学生の皆さんはそれぞれ出身国へ貢献したり、母国と日本との橋渡しとなるなど大きな夢を持ってここに集まっておいでと思います。徳島大学は、学生の皆さんが主役です。そして、皆さんが今後我が国と世界に雄飛し、リーダーとして世の中を先導されるよう、願ってやみません。新入生の皆さん、ご入学、おめでとうございます。

最終更新日:2025年4月7日

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