ある日の午後、学生さんたちが私の部屋に集団で押しかけてきた。まず最初にSさんから4年生代表ということで「御祝 実践栄養学分野一同」と、のしがかかった贈り物の箱をもらう。次にMさんとKさんからラップがかかった2品が入った袋。次にYさんとSさんから細長い袋に入ったもの。誕生日のプレゼントということであった。確か2年前は、外国産のビールの詰め合わせをプレゼントでもらい、昨年は2重構造のステンレスタンブラー(氷を入れても外側は結露しないし、お湯をいれても手で持つことができ、非常に便利なので毎日使っている)、イニシャル入りタオル、ネズミの置物だった。改めて貰うと何となくもったいない気持ちでなかなか飲んだり使用できないものである。外国産のビールは賞味期限を過ぎて飲みきったし、タオルは真っ新のままだ。今年は、伍魚福の珍味の詰め合わせ、焼酎2本、ビールのクリーミーな泡をつくる(?)ハンディビアサーバーだった。夜、早速ハンディビアサーバーを使用してみた。確かにクリーミーな泡ができる。だが、どちらかというと缶ビール一気に飲み干すタイプなので上品なものは余り使わないかもしれない(といいながらここ2,3日毎日使っている)。何時かノンアルコールビールでも試してみるか。もらうのは嬉しいのだが、収入がないのだからあまりお金をかけないでもらいたい。

大学の学費は、1970年代後半から2000年代初めにかけて、ものすごいペースで上昇している。初期の頃は経済成長に伴っているが、後期の方はバブルがはじけた後でも学費が上昇している。私の学部入学時は、入学金12万円、授業料25.2万円だった。現在は、入学金28.2万円、授業料53.58万円であるから倍以上になっている。今と時代が違うから当然と思う人もいるが、学生時代に大学近所で食べた“味噌ラーメン”は500円だったが、現在は600円だ。教科書でも南山堂から出版されている「戸田新細菌学」は現在本体16,000円だが、(学生時代に買った)私の手元にあるのは本体13,000円だ。ページ数も800ページ台から1,100ページになっているので、ページ数だけでみれば価格は据え置きくらいであろうか。「国立大学の学生は裕福な家庭の子供が多い」から私立大学の授業料水準に近づけるとの意見も出ている。だが能力があればお金がなくても大学に進学できる道も残さないと社会全体での人材損失に繫がってしまう。

色々な意味で今より昔の学生の方が恵まれていた感じがする。大学院生に聞くと学部だけでなく大学院でも15回講義がありレポートも必要らしい。私の大学院のころは講義をほとんど受けた記憶がない(その分、実験に没頭できる時間はかなり増えた)。講義でも出席をとらない先生は多かった(本当の意味でこれがいいことなのかは分からないが)。講義を忘れていて、学生が呼びに行くこともあった(うちの大学だけか)。と言っても心配は無用で、当の学生さんは今の時が一番楽しいと思っているかもしれない。

<平成27年9月8日:酒井>

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